ギターの買い方・選び方
ギターを始めるきっかけは、「大好きなバンドやギターリストが居て、自分もやりたくなった」とか、「ギターができるとかっこいい」とか人それぞれだと思います。
私ごとで恐縮ですが、最初はフォークギターから入って、コードを押さえる指の痛さに耐えられなくてギターを洋服だんすの中にしまってしまいました。
ある日、高校の友人がレスポールタイプのエレキギターを持って遊びに来たのが、エレキとの出会いでした。そのときは、「なんてエレキは重いんだ」という感想しかありませんでした。 友人が弾くのをただ黙ってみているだけで、どこをどう押さえればどんなメロディになるのかというギターの構造などまったく分かりませんでした。 ポジションというギター用語もそのとき初めて知りました。
友人が家にギターを置いていってくれたので、しばらく適当にいじっていたら、フォークギターとは違う特徴(弦の柔らかさ、ボディのコンパクトさ)が気に入り、自分も欲しくなってしまいました。
それから、アルバイトで得たお金で初めてエレキを買いました。 当時、発売されたばかりのSquier(スクワイヤー)というFender Japanの姉妹ブランドのストラトキャスターで、値段は3万円前後だったと記憶しています。なぜストラトにしたのか? それは、当時好んで聴いていたブリティッシュ・ハードロックバンドDeep Purpleのギターリストであるリッチー・ブラックモア氏に影響されていたからです。 そのギターを最初はオーディオ用アンプにつないでいましたが、音が平坦になってロックギターのサウンドが全然しなかったのです。 これはオーディオ装置にも良くないので決して真似しないでください。 そして、買ってきたのが15W出力のギターアンプでした(家で15Wはかなり余裕)。 アンプにはオーバードライブ(音を歪ませるもの)のスイッチが付いていましたが、それもガツンと魂にくる強烈さは無かったため、しばらくして「Super Tube Screamer」なるエフェクターを買いました。 エフェクターを踏んでみて、レコード(当時はCDはありません)で聴くあの音(ロックギターの音)と同じだと感動してから、ますますギターの練習にはまって、しまいには部屋に引きこもるようになってしまいました。
◆ギターの種類
ギターという楽器を大きく分けると、アコースティックギターとエレクトリックギターに大別されます。
■アコースティックギター
アコースティック(音響という意味)が示すように、単純に「弾けば響く」ギターのことですから、アンプは要りません。 短縮してアコギとも呼ばれています。
良い音で響かせるには、それなりのパワーで弾かないとならないため、当然出音も大きくなります。 したがって、弾く場所と時間を考えないといけません。 ストリートに出て行く若者が増える原因は、わが国の劣悪な住宅環境も原因なのかも知れませんね。
また、普段はエレキを弾く人でも、わざとエレキに比べて弾きにくいアコギで練習する人もいます。 弦の張り(テンション)が強いので、エレキに持ち替えたときにはスイスイ弾けるようになるのです。
アコースティックギターには、代表的なものにフォークギターがあり、大きさによって分けられ、女性や手の小さい人向けにOOO(トリプルオー)タイプ、ミディアムサイズのドレッド・ノートタイプ(最も一般的)、そして大きな音で伴奏が可能なジャンボタイプがある。また、トップ(上板)が平らなところからフラットトップとも呼ばれている。
クラシックやボサノバやフラメンコで使われるガットギター(ナイロン弦のギター)もアコースティックギターの一種である。
他に、エレアコと呼ばれるタイプは、フォークギターにピエゾ(圧電素子)ピックアップとコントロール部分(ボリューム、トーン)を内蔵したものである。
エレアコの例 YAMAHA エレアコ CPX700また、エレガットと呼ばれるものもあり、これはナイロン弦独特の響きを圧電素子で増幅してアンプで出せるようにしたものです。
その他、YAMAHAが開発したサイレントギターと呼ばれる爆発的人気商品があり、ラインで音が出せるだけでなくヘッドホンを直接差し込むことで夜中の練習にも対応できる。 ボディが枠だけという画期的な構造で、ネックと弦とピックアップだけでギターとして機能している。厳密にはアコースティックではないが、仮想的なアコースティックギターを目指したものである。
■エレクトリックギター
弦の振動をピックアップで拾って微弱な電気にして、アンプで増幅するタイプのギターです。 生で弾いてもそれほど大きな音が出ないため、ヘッドホンをつけての夜間練習も可能です(注:ヘッドホン出力付きのエフェクターやオーディオインターフェイスが必要)。 ただし、音の感じ方には個人差があるため、周りには十分配慮しましょう。 エレキにも種類がありますので、簡単に説明します。
ソリッドギター
フォークギターみたいに薄い板ではなく厚い板(単板)でできていて、叩いても空洞が無いのが音で分かる。 代表的なものに、ストラトキャスター、レスポール、テレキャスターなどがある。
ストラトキャスター
レスポール
テレキャスター製造工程は、何ピースかの木材(通常2ピースか3ピース)を接着して一枚板にしてから、ギターの形に削ってPUやコントロール部分を繰り抜いたボディにネックをくっつけたもの。
ホロウギター(フルアコ)
ボディサイズがちょうどフォークギターほどの大きさで、日本では玉川カルテットなどのお笑い芸人さんが抱えている、バイオリンのfホールみたいな穴の開いたギターと言えば分かるでしょうか。 一般的にジャズギターと言えば、ウェス・モンゴメリー氏とかが弾いていたGibson社のL5やジム・ホール氏のES175などが有名で、ジャズと言えばフルアコでなくてはという人も多い。
構造的には、セットネック(ネックをボルト締めではなくボディと一体で接着)になっている。 ボディは箱のような構造で、フルアコの名のとおりアンプ無しで弾いても音は出るが、フォークギターの代用にはならない。 また、ボディトップはアーチドトップと呼ばれ、中央部分が盛り上がった曲面になっている。 弦は裏通しではなく、ストラップピンから伸びているテールピースに弦を引っ掛けている方式。 使用する弦の種類は、フラットワウンドと呼ばれる弦を使用することが多く、独特の柔らかい音を醸し出します(普通のラウンドワウンドも使用できます)。
セミホロウ(セミアコ)
ソリッドとホロウの中間的な構造。 ストラトキャスターなどよりボディサイズが大きめで厚みもありますが、フルアコほどではありません。
ピックアップが載っているところの内部に、センターブロックと呼ばれる部分的にソリッドな木部があり、これがセミアコの特徴となっています。 言うなれば中心部がソリッドギターで、脇が空洞なホロウ構造になっているため、暖かみのあるサスティーンの良い音が出るのです。こちらもアーチドトップのボディが多いです。
代表的なギターに、Gibson社のES335やEpiphone社のカジノなどがある。
◆ギターの選び方
ギターの選び方は様々です。 それでは、いろんな選び方を見ていきましょう。
■値段で選ぶ
初めてギターを選ぶのには、これがいちばん現実的なことではないでしょうか。 初心者がいきなり、アメリカ製のGibsonという選択肢も無くはないですが、お金が余って仕方ない人以外は避けたほうが良いでしょう。 勢いで初めてもすぐに挫折するかも知れません。初めて買うギターは日本製か安価なアジア諸国製品がお勧めです。
日本の楽器メーカーも本家顔負けのコピーモデルを何十年も生産してきて、現在では中国などアジア諸国に工場を置いて安く作られています。 日本の技術者を現地に置いて管理しているメーカーがほとんどなので、品質も昔に比べて格段によくなっています。
スーパーギタリストのカルロス・サンタナ氏が使用しているので有名な高級ギターメーカーPRS社も韓国で低価格なSEシリーズを生産していて、その品質には定評があります。 人件費や場所代などを浮かせて、製品に還元しているとも言えます。
エレキギターの最低ラインの価格帯は5800円〜15000円で、そこそこ楽しめるギターが手に入ります。 ギターに慣れている人でも、遊び用に手にする人もいるくらいです。 安くて品質が良いと言われているブランドがあるのは確かです。 バッカス(ディバイザー)、Playtech、Peaveyなどがお勧めです。
■見た目で選ぶ
見た目から入るのも悪くないと思います。 好きなギタリストと同じような形とか、色合いが好きとか木目の模様がいい感じとかいろいろあります。 人と違った個性的な形が好きだとか、奇抜な変形ギターから入る人もいます。 ただ、変形ギターには座って脚の上に置いて弾けないギター(フライングVタイプ)もありますので、注意(割り切り)が必要です。
オーソドックスで無難なのは、ストラトキャスターとかテレキャスター、レスポールなど歴史の長いスタンダードモデルです。
低価格ギターにはこれらのモデルが数多く存在するので、比較的簡単に探すことが可能です。 また、ストラトと一言で言ってもボディ材やフィンガーボードやネックの握った感じなど様々なので、是非ギターに詳しい知人と近所の楽器店を何件か回って試させてもらうことをお勧めする。
店員さんに「このギター試奏したいのですが・・・」と声をかけると、喜んでアンプにつないでチューニングしてもらえます。 手際よく音程を合わせてくれる店員さんがかっこいい存在に見えるものです。 ギターを渡してくれたときには、「ありがとうございます」と一言お礼を言うのが店員さんと仲良くなる秘訣です。 そして、真剣に欲しいギター探しをしてくれることでしょう。 くれぐれも通販で一発で買ってしまい、「写真で見たのと違ってがっかり〜」ということのないようにしたいですね。
とにかくメーカーの数ほど形があると言っても過言では無いので、いろんな情報を参考にお気に入りの1本を見つけて欲しいものです。
自分の手にしたギターによってやる音楽を限定してはつまらないものです。 変形ギターの代表であるフライングVでロックじゃなく渋いブルーズをやる巨匠アルバート・キング氏もいました。 ジャズを馬鹿でかいフルアコではなくFenderテレキャスターでクールに弾き倒すマイク・スターン氏もいます。 マーチン社のフォークギターで前衛的なジャズを演奏していた若かりし頃のジョン・マクラフリン氏も、それまでのフォークギターの固定観念をかっこよく壊してくれました。
自分の選んだギターでいろんなスタイルの音楽に挑戦するというのは良いと思います。 構造的にアンプの前でハウリングしやすいセミホロウやホロウのギターでメタルっぽいのを演奏するのはさすがに厳しいですが、それもまた本人の自由です。
Flying V
■音色で選ぶ
ギターは木材も大事ですが、最終的にはピックアップ(以下PU)が弦の振動を電気的に増幅してシールドケーブルを伝わってアンプから音が出ます。 要はPUの違いで音のキャラクターがかなり変わってきます。また、PUと同時に出音で重要なのがアンプであることは間違いないでしょう。
ピックアップは一般的に、シングルコイルとハムバッキング(以下ハム)の2種類に分けられます。 シングルコイルに乗ってしまいがちな耳障りなハムノイズを消そうとして開発されたのが、ハムバッキングタイプのピックアップです。
シングルコイルは爽やかで高音域が明るくきらびやか、ハムバッキングは太くて重厚な音が出ると言われています。 現代ではどんなギターでも電子的に加工して多様な音色を表現できますが、ことヘヴィメタルなどで重低音が欲しい場合はハムのほうに軍配があがります。 シングルコイルでもハイパワー仕様(Dimarzio HS-3など)のも出回っているので、そういったピックアップが初めから乗ったギターを買うという方法もあります。
シングルのほうは、ヘヴィロック以外のジャンルならほとんどカバーできるので、いろんなジャンルに対応したいのならシングルを選ぶという方法もあります。 歯切れのよさから、コードカッティング(リズムギターのこと)重視でシングルを選ぶというギタリストも多いです。
まずは、好きなギタリストの情報をネットや情報誌で調べて、シングルコイルなのかハムバッキングなのかを特定してみるのもよいでしょう。
また、最初にシングルコイルを買ったら、次はハムバッキングを買ってみるという方法もあり、ギターの音色の違いを知ることができるので良い買い方でしょう。 いろいろと試しているうちに、欲しい音がイメージできるようになるはずです。 でも、実際はそれぞれに良さがあり、シングルとハムどちらの音も捨てがたいはずです。
■弾きやすさで選ぶ
まず、弾きやすさに関わってくるのがネックです。 ネックの厚みがあると、手の小さい人には不利です。 手が小さめな人は店員さんに相談して、ネックが薄くて演奏性の良いものを探してもらうというのもひとつの方法です。 ただ、一概にネックが薄いものが弾きやすいかというとそうでもなく、人それぞれで若干厚みがあるのが好きという人もいます。 経験を積んでいくうちに、自分の手にしっくりとくるものが見つかると思うので、標準的なものを選んでおいて間違いは無いでしょう。
また、ネックのグリップ形状(ネックを断面でとらえた形)も、CシェイプとかVシェイプ(ビンテージフェンダー)などあり、カタログに記載されている。 言われれば気が付く程度のことかと思います。 実際の握りやすさで選ぶようにしましょう。
ネックの厚み以外では、ネックのスケールを重視する人もいます。 スケールとは、ブリッジからナット(0フレット)までの長さをいい、長ければ長いほどフレット同士の間隔が広くなることを意味します。 648mmのロングスケール(ストラトキャスターなどフェンダー系に多い)と628.6mmのミディアムスケール(レスポールなどギブソン系に多い)を較べた場合、後者のほうが演奏性は高いと言えます。それより短い610mmのショートスケールと呼ばれるものもあり、フェンダー・ジャガーやムスタングなどに採用されています。
本当に演奏性を追求した結果、軽量なストラトタイプのボディにミディアムスケールのネックを合わせるという画期的アイデアが生まれました。 ギターリストの故・成毛滋(なるもしげる)氏のギターがそれでした。 本来、エレキギターは手(いや全身)の大きいアメリカ人が考え出したもので、手の小さい日本人には日本人のギターが必要という考えから編み出されたものです。 ボーリングの球を自分の手に合わせて選ぶのと同じ発想ですかね。 ちゃんとギターの音が出て、しかも手が痛くならずにプレイできるなら、むしろそちらのほうが良いと思います。 ただ、現在はあまり種類が出回っていないのが残念です。
[参考]成毛滋氏のギターを紹介したサイト
http://www.ne.jp/asahi/chelseas/terrace/pe/workshop/stm-dsc/stm_dsc.html
[参考]ミディアムスケールのストラト Fender Japan AST-80M/DH
次はフレットが打ってある指板(フィンガーボード)についてです。 ストラトを見ると、だいたい黒っぽいやつか白っぽいやつというのが想像できると思いますが、黒っぽいのはローズウッド指板と呼ばれ、近づいてよく見ると茶褐色という色に近いです。 本当の黒い指板はエボニーと呼ばれる木材で、ストラトにはあまり使われずセミアコなどに用いられます。
白っぽいやつはメイプルという木材で、要はネックがメイプル材でそのまま指板となっているものです。 ローズウッド指板というのは、メイプルネックに張り合わせているわけです。
音質的に言うと、ローズウッドは暖かみのある音で中音域重視、メイプルは硬くて明るく高音域重視と言われている。 ギタリストを例にとると、エリック・クラプトン氏のブラッキーと呼ばれるストラトはメイプル指板、ロックバンドRed Hot Chili Peppersのジョン・フルシアンテ氏の1962年(?)製ストラトはローズウッド指板です。 どちらの材質が良いかは好みの問題で、筆者はメイプル指板のギターを弾いている。 これは、たまたま1954年コピーのストラトモデルだったためで、とくに指板で選らんだわけではありません。 ラッカー塗装が施されたメイプル指板だと、弾きこむほど塗装がはげていい感じになるというのもあります。
ローズウッド指板かメイプル指板かという選択肢は、ギブソンタイプのユーザーには関連性が低いものです。フェンダータイプギター(ストラト、テレキャスター)ならではの楽しい選択肢とも言えます。
ネック自体の材質としては、フェンダー社はメイプルネックをボディにボルトオン(ねじ止め)しており、ギブソン社はマホガニーという材質のネックをセットネックと呼ばれる工法でボディに接着しています。 ただ、レスポールも1970年代に入ると従来のマホガニー材ネックを止めて、メイプル材ネックに変えてしまい評判が落ちたそうです。音的にはメイプルは硬めの音なので、これは聴き比べて自分の耳で判断して欲しい。 レスポールタイプとしては、マホガニーのセットネックでなければという人も多いですが、低価格帯のギターではコストの関係で採用していないほうが多いです。 しかしながら、そんな安いギターでも十分良い音が出るものもあるので、迷信や都市伝説に惑わされてはいけません。ボルトオンの激安レスポールタイプでも、十分戦えるモデルもありますので面白いものです。
あとは、重要な点と言えば重量でしょうか。 普段は脚の上に置いて演奏していても、スタジオで立って弾くときはストラップでぶら下げます。 そのときに、やたら重いと長時間弾くのが苦痛になる場合があります。 ギターの種類で言えば、空洞のあるアコースティックギターよりも単板のソリッドギターのほうが重く、ソリッドでも材質の違いでストラトキャスターが3.5kg前後でレスポールが4.5kg前後と開きがあります。 しかし、レスポールが一番好きだという気持ちがあれば、重さも次第に慣れていくに違いありません。重さというのも、ギター選びの天秤にかける要素のひとつと言えるでしょう。